混沌への弾道 ―早稲田大学代数幾何学セミナー懇親会史2― |
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1984年の初回以降毎年、代数幾何学セミナーでは忘年会におでんパーティーをするというのが恒例となった観があります。 早稲田大学代数幾何学セミナーという閉じた世界への“黒船”は、その2、3年後に来航しました。それは、中央大学の関口 力大僧正(尊師ではない)の率いるモジュライセミナー僧兵軍団との接近遭遇でした。そのとき私がモジュライセミナーにかなりお世話になっていたためなのか、またはただ単に、類が友を呼んでしまったのか、やはりきっかけは思い出せませんが、とにかく今年は早稲田大学で合同忘年会をしましょう、ということになりました。そのメンバーには、現在客員教授として早稲田大学で講義をしていただいている数論的幾何の権威、中央大学の百瀬文之さん、また、最近代数幾何学セミナーに参加していただいている神奈川工大の米田二良さん、そして、このモジュライセミナーのgeneratorである小泉正二先生がいらっしゃいました。 我々はつまみとして、それまでの慣習通り、おでんしか用意しませんでしたが、モジュライセミナーの人達は、たしか池袋『西武』の地下食料品街で調達した、生カキ、刺身、カマンベールチーズ等など、これまで我々の想像だにしなかった、‘うまいもの’を持ってきてくれたのです。今にして思えば、我々のそれまでの水準があまりにも低く、行動力、想像力が乏しかった、ともいえますが、とにかくその時のインパクトは非常に大きいものでした。関口大僧正が懐から独鈷(要するにお坊さんのスイスアーミーナイフのようなもの)をさっそうと取りだし、次々と、カキをひらいて下さった様子は今でもはっきり思い出せます。それまでの早稲田大学代数幾何学セミナーの忘年会はストイックに《おでん+日本酒+ビール》に固執していましたが、このころから、関口モジュライセミナー軍団の『うまいものは、うまい』的発想に触発されてか、かなり贅沢になり、あからさまに言えば、自分に正直になってとにかく欲の赴くままにうまいものを飲み食いしよう、という動物的本能に根差した態度に変わってゆきました(というか、だんだんドーブツに近くなっていった気もしますが.....)。
この合同忘年会の大盛況をきっかけとして、それ以降、いろいろな人をゲストに呼んだりして、楽しんでおりました。渡辺敬一さん(東海大学)の特異点セミナーの人達や、畏友、寺杣友秀氏(現在東大)、...、などなど。まだこの頃は、夕方4時か5時頃から始めて、大体9時にはあらかた用意したものを平らげ、2次会へと繰り出していました。この2次会での様子もいろいろと、一言では言い尽くせぬ事があるのですが今は、やめておきしょう。
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