射影多様体/代数多様体の射影幾何3+代数曲線

代数幾何研究集会

平成15年度文部科学省科学研究費補助金 基盤研究 (B) (課題番号: 15340204, 研究代表者: 柴田良弘) により, 下記の要領で代数幾何研究集会を開催します.

楫 元 , 前田英敏

日時: 2004年1月26日(月)-29日(木)
場所: 早稲田大学理工学部55号館N棟1階大会議室
住所: 〒169-8555東京都新宿区大久保3-4-1早稲田大学大久保キャンパス

プログラム

足利 正 (東北学院大学工学部)
代数曲線族の不変量の局所集中性について

荒川達也 (群馬工業高等専門学校電子情報工学科)
分裂族のモノドロミー

飯高組:=飯高 茂+簗場広子+臼田進一 (学習院大学理学部)
平面曲線のクレモナ幾何の再生---古くて新しそうな理論---

石坂瑞穂 (東北大学理学研究科)
種数が3の非超楕円曲線族の周期的モノドロミーについて

石田弘隆 (東北大学理学研究科)
種数2の曲線束を持つ種数1, 不正則数1の一般型曲面について

大渕 朗 (徳島大学総合科学部)
代数曲線上の二重被覆面のペンシルについて

齋藤 夏雄 (東京大学大学院数理科学研究科)
ワイルドな 2 次曲線束をもつ 3 次元ファノ多様体について

高木寛通 (京都大学数理解析研究所)
On classification of Q-Fano 3-folds

竹内聖彦 (岐阜聖徳学園大学経済情報学部)
Del Pezzo ファイバー構造を持つファノ多様体

戸野恵太 (埼玉大学理学部)
On the number of the cusps of cuspidal plane curves

春井 岳 (大阪大学大学院理学研究科)
An improvement of Clifford's theorem

廣門正行 (広島市立大学情報科学部)
Deformations of rational double points and simple elliptic singularities

前田英敏 (早稲田大学理工学部)
超楕円曲線上で消滅する大域切断を有する非常に豊富なベクトル束

皆川龍博 (東京工業大学大学院理工学研究科)
On weakened Fano 3-folds

講演スケジュール

10:00-11:00 - 足利 正 竹内聖彦 大渕 朗
11:30-12:30 - 廣門正行 石田弘隆 戸野恵太
14:00-15:00 高木寛通 荒川達也 皆川龍博 飯高組
15:30-16:30 石坂瑞穂 斎藤夏雄 春井 岳 前田英敏

世話人: 楫 元, 前田英敏
連絡先: 早稲田大学理工学部数理科学科連絡事務室
電話番号: 03-5286-3015

アブストラクト

代数曲線族の不変量の局所集中性について
足利 正 (東北学院大学工学部)

Fibration を持つ複素代数曲面の大域不変量が、 ファイバー芽の対応する局所不変量の有限和で書かれる, ある状況についてお話したい。 このテーマのどの側面をお話するか現時点ではまだ未定であるが、多分
    (i) 非特異ファイバーが不変量を運ぶ例の構成 
    (ii) ある Siegel 保型形式との関連
    (iii) 半安定還元に伴う不変量の変化,
のいずれか一つを選ぶ予定です。

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分裂族のモノドロミー
荒川達也 (群馬工業高等専門学校電子情報工学科)

代数曲線の退化族に対し, 特異ファイバーの周りのモノドロミーを調べることにより退化の性質を研究する方法がよく知られていますが, この方法を「退化の退化」である分裂族に適用してみようというのが今回のお話の主題です.  曲線の退化の場合, モノドロミーを一般ファイバーの写像類群と思ったり, そのホモロジー群への作用を見たりしますが, 今回は分裂族のモノドロミーの特異ファイバーたちへの作用に注目してみようと思います.

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平面曲線のクレモナ幾何の再生---古くて新しそうな理論---
飯高組:=飯高茂+簗場広子+臼田進一 (学習院大学理学部)

射影的代数多様体 $ S $ とその上の既約因子 $D$ についての対 $(S,D)$ の双有理幾何を考える。 $ S $ と $D$ がともに非特異のとき $ P_{m,r}(S,D)=\dim |mK_S+rD|+1$ と定義する. $S$ が有理曲面のとき、極小な対 $(S,D)$ について $ \kappa[ D ]=2$ とし $Z=K_S+D$ とおく。 $ P_{2,2}(S,D), P_{2,1}(S,D), P_{3,1}(S,D)$ および$(2Z-D) \cdot D=\alpha , (2Z-D) \cdot Z=2A , (3Z-2D) \cdot Z=\Omega= ,(3Z-2D) \cdot D=2 \omega $ によって、定義された双有理不変量 $A,\alpha, \omega, \Omega$ について詳しい研究結果を述べる

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種数が3の非超楕円曲線族の周期的モノドロミーについて
石坂瑞穂 (東北大学理学研究科)

種数が3の周期的モノドロミーは全て非超楕円曲線族のモノドロミーになりうることをまず述べる (実際に曲線族を構成する). 構成した非超楕円曲線族の堀川指数を計算し, 超楕円曲線族のモノドロミーとの比較観察結果を述べる.

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種数2の曲線束を持つ種数1, 不正則数1の一般型曲面について
石田弘隆 (東北大学理学研究科)

種数1,不正則数1の極小一般型曲面はアルバネーゼ写像により, 楕円曲線上の曲線束の構造を持つ. この曲線束が種数2の曲線束であるとき, $K^2$ の値は2から6までとり得る. $K^2$ の値が2から4のときは, 曲面は実際に存在することが知られている. 今回は$K^2=5$となる曲面を定義方程式を与えることにより構成する.

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代数曲線上の二重被覆面のペンシルについて
大渕 朗 (徳島大学総合科学部)

種数gの代数曲線Cが種数hの代数曲線Eの被覆面であるとする。 C上のペンシルは次数が Castelnuovo-Severi の不等式から得られる値以下であれば必ず代数曲線 E への二重被覆を経由するが、それよりも大きな次数では明らかではない。 特に代数曲線が他の代数曲線Eへの二重被覆面である、 と言う一番単純な場合(この場合先の Castelnuovo-Severi の不等式から得られる値はg-2h)に於いても問題は明らかではなかった。 今回は二重被覆面に限り g-2h+1 以上の次数を持つペンシルの中に必ず二重被覆を経由しない物が存在する事を示す。

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ワイルドな 2 次曲線束をもつ 3 次元ファノ多様体について
齋藤 夏雄 (東京大学大学院数理科学研究科)

正標数の代数多様体は, しばしば複素数体上では起こり得ない奇妙な構造を持つことがある. ここでは,そのようなものの一つとして, ワイルドな超曲面束と呼ばれる特殊なファイブレーションの構造を持った多様体を調べ, その系として, ワイルドな 2 次曲線束の構造をもつ 3 次元ファノ多様体を決定する. これによって, 正標数の代数的閉体上における滑らかな 3 次元ファノ多様体の分類がほぼ完成することになる.

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On classification of Q-Fano 3-folds
高木寛通 (京都大学数理解析研究所)

扱う対象は、 Weil 因子の数値同値類のなす群が反標準因子の類で生成されているQ-Fano 3-fold ですがまだどんな話になるか詳しくは未定です。 希望としては、 種数が8で指数が2の特異点を二つ持つ上述のQ-Fano 3-fold を、その上の直線、 あるいは二次曲線のHilbert scheme から回復する話をしたいのですが今のところ未完成なのでどうなるかわかりません。 下手をすると去年の城崎と同じ話になってしまうかも知れませんがそのときよりはうまく話すと言うことでどうかご勘弁願います。

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Del Pezzo ファイバー構造を持つファノ多様体
竹内聖彦 (岐阜聖徳学園大学経済情報学部)

Del Pezzo ファイバー構造をもつ非特異3次元弱 Fano 多様体(反標準因子が nef & big)の分類を行う. Del Pezzo ファイバー空間が射影ファイバー空間への埋め込み写像(場合によっては二重被覆)を持ち, 更に,全空間が弱 Fano 多様体のときには底空間が射影直線となることを用いると, この射影ファイバー空間は具体的に記述できる. 弱 Fano 多様体は,この射影ファイバー空間の部分多様体(或いは二重被覆)として実現され, それを分類することができる.

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On the number of the cusps of cuspidal plane curves
戸野恵太 (埼玉大学理学部)

局所的に既約な特異点のみを持つ平面曲線を考察する。 このような平面曲線を尖点平面曲線と呼ぶ。 尖点平面曲線の特異点の数を曲線の種数の関数で評価することが目標である。 具体的には種数が g の尖点平面曲線の特異点の数が (21g+17)/2 を超えないことを示す。 この評価により例えば有理尖点平面曲線は 9 個以上の特異点を持てないこと、 楕円尖点平面曲線は 20 個以上の特異点を持てないこと等がわかる。

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An improvement of Clifford's theorem
春井 岳 (大阪大学大学院理学研究科)

種数g の代数曲線C上の次数 d≦2g-2、 射影次元r の線形系について、Clifford の定理より不等式 2r≦d が成り立つ。 等号成立条件はCが超楕円曲線であることである。 またCoppens とG.Martens により、Cがある特殊な曲線でないときには d≦g-1 ならば 3r≦d となることが示された。 この結果を拡張して、一般に正の整数l に対し、 ある種の例外的な曲線を除いて ld≦2g-2 のとき不等式 (l+1)r≦d が成り立つことを示す。

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Deformations of rational double points and simple elliptic singularities
廣門正行 (広島市立大学情報科学部)

楕円曲面の理論は正標数閉体上では楕円曲面に準楕円曲面が対象として加わります. 三次元ファノ多様体, カラビヤウ多様体においても正標数では一般ファイバーに特異点を持つファイブレーションの存在が分かっています. ここでは一般ファイバーに現れる特異点の特徴を不変量でとらえるという問題について扱います.

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超楕円曲線上で消滅する大域切断を有する非常に豊富なベクトル束
前田英敏 (早稲田大学理工学部)

非特異複素射影代数多様体上の階数がその多様体の次元よりも1つ低い非常に豊富なベクトル束で, 零点集合が超楕円曲線となる大域切断を有するものを考察する.

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On weakened Fano 3-folds
皆川龍博 (東京工業大学大学院理工学研究科)

weak Fano 3-foldでFano 3-foldに変形可能であるものをweakened Fano 3-foldと呼ぶ。以前ピカール数2のものについて分類を研究、その後、 佐藤 拓によってToricなものについて分類がなされた。それらの分類結果からでてくる 3-foldには共通したある種の対称性があり、 そのことに着目すると一般のweakened Fano 3-foldの分類の足がかりとすることができる。

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