Rio通信: オニブス


実践編: 降り方

降り方についても, 運転手とコミュニケーションさえ取れれば, いろいろな融通が利くようであり, 結構, 停留所がどこか, ということよりも, 乗客の希望の場所で止めてくれることが多いらしい.

客と運転手の様子を観察していると, よく, 次のような会話をしているようである:

「オレさ, どこそこに行きたいんだけどさ...」
「そんなら, あそこの交差点が近いぜ」
「じゃ, その辺で止めてよ」
「オッケー」 (それで, 停留所とは全然違うところでバスを止める)
また, こういうパターンもある:
「もうちょっと走ったところで止めて欲しいんだけどさ...」
「どの辺?」
「もうちょっと行ったところ」
「この辺?」
「もうちょっと...」
「この辺?」 (それで, 停留所とは全然違うところでバスを止める)
「そう, そうこの辺. オブリガード」
「デナーダ」
会話の内容を聞き取れる語学力は無いが, いつもこんな所じゃ止まらないぞ, ってところで客を降ろしている光景を頻繁に見かけるのである.
後日談: この部分を書いてからしばらくして, 次のようなことがあった: 運転手横の降車口近くに行って, 降りる合図の紐を引っ張りつつきょろきょろしていたら, 運転手がスピードを落として何かしきりに言っている. こちらの顔をちらちら見ながら

「...アキ? ...アキ? 」

と言っている. ようやく, 「お前が降りたいのは, ここか? ここか?」と聞いていることに気づいた. この運転手が止めようとしているところは停留所とは関係ないのである. 行きたい店の近くに来たところで

「アキ! (ここ)」

と言って止めてもらった. 運転手に「オブリガード!!」と言ってバスを降りた. 思わず大きな声で言ってしまった. 些細なことだけれど, このようなときはとても幸せな気分になってしまい, 結構自分って単純だ.

さらに後日談: 日系ブラジル人の人に聞いたところによると, 停留所以外のところで乗客を乗降させるのは危険なので, それが警察官に見つかれば咎められるそうである. 咎めているところは見たことないけれどね.

さらに後日談: 先日は, ここで降ろして欲しいと言っているのを断っている運転手を見た. やっぱり, いつでもどこでも降ろしてくれる, と思うのは間違いらしい.

さらに後日談: オニブスが信号待ちしていたとき, ジェスチュアを交え, 窓から外に大声で話している乗客がいた. 隣に止まったオニブスの運転手に何やら言っている. 何かと思ったら, 次の停留所でそちらに乗り換えるから, 止まって待ってろ, と言っている.

もう『何でもアリ (vale-tudo)』ですネ.


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