出国手続き: 学内編
特別研究期間制度 自分の場合, 早稲田大学の『特別研究期間』という制度に応募して, 一年間海外出張させていただけることになった. これの申請は前年度の夏休み前くらいに締切があり, 予算との関係から各学部に定員が決められている. 例年ならば, かなりすぐにOKが出るのだが, 今回の場合, 夏休みが明けてしばらくして, やっとOKが出た. なぜかと言えば, 理工学部からの応募者が少なく, なかなか定員が満たされなかったため, 応募者を募っていた, という事情があるらしい. かなり, もったいないハナシである. 一方, これは出発間際に知ったことであるが (通達はきちんとされており, 自分が見落としただけである), 多くの専任教員が利用できるように理工学部では, 前学部長室が決めた 『250万円を滞在費の上限とする』という内規まである. 早稲田大学における通常の計算方法で滞在費を計算すれば, つまり他学部では, 300万円近い額支給されるところを, 前の執行部が決めたトンチンカンな内規で, 250万円に削られてしまう, ということである. この辺りの, 理工学部の専任教員のこの制度に対する本音と学部長室側の気遣いの間には, ギャップがあることは否定できない.
さて, この制度に対しては, 勤続5年でその応募権利が得られ, 約10年に一度応募することができ, 期間は, 原則として1回目は1年間, 2回目, 3回目は半年間となる. 期間中は給料の他に滞在費, 渡航費等が支給される. 原則として, というのは, たとえば, 他大学や他研究機関のファンドで出張するなら, 5年も勤めなくても1年くらいなら海外出張できるとか, また, 2回目以降でも延長を願い出て一年間くらい滞在できるなど, いろいろと例外もある. このようなことは, 早稲田大学教務部発行の『教務マニュアル』を見れば書いてあることなので, もうこの辺でやめよう.
健康診断 さまざまな提出書類は, このような制度につきものである. 大体想像のつくものばかりだけれど, 自分にとって最もイヤだなぁ, と思われたのが, 健康診断である. 健康診断といっても, 実は, 『日帰り人間ドック』である. 費用は大学が負担してくれるのであるが, 日帰り人間ドックに入らないと, 原則として, 長期の海外出張には行かせてもらえない仕組みになっている. これは, ある意味では当然と言えば当然であるが, 受診するのはかなり億劫である.
そんなもの, サッと受けてくればいいじゃないか, って思われる方もいるかもしれない. また, 年に一度は必ず受けています, なんて言う友人もいるのだが, 自分にとってはこれほどイヤなものはない. どうしてそんなにイヤなのか, 一寸書いてみたい.
医療不信 最近, 医療ミスの報道が続いている (最近報道されるようになっただけで, ミス自身は昔から数多くあったのではないか, と考えてしまうのは医療不信に陥った証拠か?). 本来, 人の健康を取り戻すはずの場所である医療機関において, 信じられないようなミスにより, 大した病気ではない人々が健康を損なわれたり, 命まで奪われたりしている. だから, たとえば, 人間ドックに行って, とても簡単な検査のハズなのに, 薬の種類や量を間違えて一生なおらない後遺症を背負わされたり, 命を奪われたりしたら, たまらないと思ってしまうのである.
そもそも滅多に医者にかかったことが無い. 子供の頃から「放っておけば, 直るよ」と言われ続け, 風邪になれば「寝ていれば直る」と教わってきたので, 病気とは自分でなおすもの, と考えていて, 医者に行くという発想自身があまりない. ただし, 歯医者については避けようが無く, 虫歯となり痛くなれば, 仕方なく行くのだけれど, とにかく身体は頑丈で, 思い返してみると, 歯医者以外でこの20年ほどの間にお世話になったのは, 酔っ払って足を捻挫してしまったとき, それから, 舌を自分で噛んで口内炎ができてしまったとき (このときは酔っ払っていない: 念のため), の2回である.
歯医者 脱線してしまったが, なぜ人間ドックがキライか? というよりも, なぜ医療機関がキライか, といった方がよいが, もともと悪くはなかったのだけれど, 医者につつき回されて, 調子がおかしくなるということもあるからである.
これは, 歯医者の初診のときを思い出せば, 誰でも納得できると思う (歯医者さんに恨みはありません. ただ, ここは気持ちを正直に書いてみたい). たとえば, 右下の奥歯が痛くてたまらず, もう我慢できなくなって歯医者に行ったとする. すると, 大抵の場合, 歯医者は, 小さなカガミのついた棒であちこち覗きながら, 先の非常に尖った針のついた棒を使って, 右下の奥歯だけでなく, 誰も頼んでもいないのにいろいろな歯をカリカリつつき回し始める. すると, それまで, ちっとも痛くなかった歯がシクシク痛み始めてくる, ということはだれにでも経験があると思う. とにかく, この右下の奥歯の痛みだけ止めてくれー, というつもりで意を決して行ったのに, さんざんつつき回された挙げ句, 最後に
「貴方は虫歯が6本ありますね. 右下の奥歯以外に」
なんて言われるのである. 診療前は, 痛かったのは右下だけだったのに, 診療後は, そこいら中痛い歯だらけになってしまい, おまけに極度の緊張のためかクビや肩が凝ってしまい, ひどいときは頭痛も貰ってくる, という有り様である.この場合は, 結局は虫歯だったのだから仕方ないじゃないか, って言われればその通りだが, とにかく, 医者はキライなのだ.
しかし, 人間ドックに入らなければ, 希望するブラジルにも行けないわけで, 仕方なく大学の示したリストにあるクリニックの一つに行ってみた.
人間ドック そこでは, カルテを持たされて午前中一杯, クリニックの中をあちこち行ったり来たり. ここでの様々なことを書いてみたいのだけれど, そこでお目にかかった様々なお医者さん, 看護婦さん, または, 多分その中間位の人など, ちょっと例を述べるだけに止めておきます:
- ファーストフード店の人のようにバカに愛想のよい受付の人 (もっと, クライところかと思ったけれどちょっと驚いた)
- 採血の際, 針を刺すときの痛みを全く感じさせないプロフェッショナルの人 (これにも驚いた)
- それとは対照的に, 相手の痛みは我関せずの, まあ, これもある意味でのプロフェッショナルでしょう, とにかく, そゆ人 (痛ッテーっ; これでも人間なんだゾ, 生きていて, 感覚もちゃんとあるんだゾ; 物扱いはやめてくれー, って感じ)
- 検査する際, 徹夜明けなのか何だか知らないけれど, 最初からキレてしまっている怖い検査係りの人 (もう, 怒られっぱなし. こわかったー)
どこに大変お世話になったは書きません. しかし, あそこには, しばらく行きたくありません.
診断結果 左眼眼底出血の疑いあり, と診断されました. しかし, 再検査の結果, 何の異常もなしということで, 再検査のお医者さん曰く
「写真の滲みか何かでしょ」
だってさ. まあ, 異状無しなのだから, 良しとしましょ.ということで, とにかく, とにかく, 健康診断はクリアしました. ああ, しんど.