有馬先生の思い出米田 元 |
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─学部時代─ 有馬研を最初に訪れたのは,私が学部3年生の時. 有馬研を志望した同級生,7,8人くらいと共に, 当時51号館5階にあった研究室内に並んで立っていた. 「ハーツホーンをどこまで読んでいるか言いなさい」と先生がおっしゃった. いきなりビックリした. 各自「OO章までです」などと順に言っていった. 全く読んでいなかった私は,「読んでません」と答えた. 2つのグループに分けられた. 先生は私に 「君は何がやりたいのか?」と尋ねた. 私が「なんでもやります」と答えると, 先生は「じゃ,相対論を一緒に勉強しないか?」とおっしゃった. これが,私の先生との出会い,そして相対論との出会いでもあった. だいぶ後で気づいたのだが,これはゼミ生を1軍と2軍に分ける作業であり, 私は見事に2軍行きになった,ということらしい.
─修士課程時代─
「相対論で博士号を取るのは難しいぞ」とおっしゃった. 私は「なんとか頑張りたいのです」と後に引かずに頼み込んで, やっと承諾してもらった. 厳しいことも言われたが,先生は私をほめてくれたことがある. 「君は特に腕力がありますね」と.忘れられない一言である.
─博士課程時代─
─助手時代─
「あのビルは,OOのビルだよね?」と私に尋ねた.私がそちらを見ようとすると, 先生は 「あー,君は前を見ていなさい」と. 私が助手の任期を終えるとき,先生は定年退官を迎えられた.
─非常勤講師時代─
「面白いと思いますね」とおっしゃってくださった. 決して「就職はまだですか?」とはおっしゃらなかった. 私が苦労しているのは,重々承知していたからだと思う. 就職できたことを,先生の墓前にしか報告できないことは, 残念極まりない. [2003/02/16] |
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