最初の講義

楫 元

有馬先生の最初の講義は、3年次の「代数幾何」でした。 初回の講義で有馬先生は、 「代数多様体とは、アファインスキームの張り合わせのことです。」 と仰っていきなり、

X = Spec A

と板書されました。 「Spec A」 とは、可換環 A のアファインスキーム、すなわち、素イデアルの全体のなす集合で"多様体の構造"を入れたものである、 と説明されて、可換環論も素イデアルすらもよくわかっていない自分は圧倒され、 「なんか、代数幾何ってスゴい」っていう印象が残りました。

有馬先生の講義は、Atiyah-MacDonald の可換環論のテキストそって淡々と進んで行き、 代数嫌いだった自分は、正直言って「なんか、これ、『代数』のくせに面白い」と感じつつも、 自分は、代数幾何には向かうつもりはなく、 「絶対に、微分幾何学をやるのだ!微分幾何学を極めるのだ!!」と心に決めていました。

夏休みに有馬先生に薦められて、講義を先んじて自分で Atiyah-MacDonald の可換環論のテキストを読むまでは、 "抵抗"を続けていた訳です。 しかし、夏休みに自分で勉強してみると、不覚にも感動してしまい、 「ハーツホーンを読もう!」という気持ちになっていました。

[2012/07/23]


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