有馬先生のこと

飯高 茂 (学習院大学、昭和17年生まれ)

有馬哲先生は私にとって、兄貴分のような存在でした。 といっても先生は兄貴風をふかす訳ではなく、 とても丁寧に話を聞いてもらえる良き兄貴でした。 お会いできるだけでうれしかった記憶が鮮明にあります。

ずいぶん前のことですが河田先生が有馬先生にお願いして東大で非常勤講師をしていただいたことがあり代数的な代数幾何の入門、 言ってみればZariski-Samuel風の講義であったと記憶しております。

有馬先生は昔、アメリカに短期間ですが教えに行かれました。 そこで松坂輝久(ブランダイス大教授)という当時の代数幾何学の大立て者に、 自分の研究結果を話して聞いてもらったそうです。そのことを電話でうかがったことがあります。 噂によると、有馬先生は昔、戦車に乗っていた兵隊さんでした。 そこでは騒音がひどくて、命令は肉体を使い殴るようにして伝達されたそうです。 本当のことかどうか、一度確かめてみたかったのですが。これが心残りです。

[2003/12/04]


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